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むくみ

 

むくみとは

むくみとは「体の60%は水分」と言われていますが、これはあくまで「水分」であり「水」ではありません。
その体内の水分の約3分の2は細胞内に含まれている「細胞内液」です。
残りの約3分の1は血液や細胞間を満たしている「細胞外液」です。
むくみ(浮腫)は、この水分バランスが崩れ、細胞間の水分が異常に増加した状態です。
皮膚の外から見ると、腫れぼったく見えることがあります。

足でむくみの症状チェック

足でむくみの症状チェック足の脛を指で5秒間押してみて、指を離したときに皮膚が10秒以上へこんだままであれば、それはむくみです(通常はすぐに戻ります)。
むくみは夕方以降にひどくなるため、朝と夜の二度チェックするとよいでしょう。
どちらかでむくみが見られる場合は、早めに医療機関を受診してください。

むくみの原理

むくみは体内の水分分布が乱れることで起こります。
以下の要因が関与します。

長時間の同じ姿勢

長時間座りっぱなしや立ちっぱなしでいると、重力の影響で下肢に水分がたまり、むくみが生じます。
病的な原因はなく、生活様式の工夫で改善が期待できます。

浸透圧の低下

血液内の栄養(蛋白質)が少なくなると、血管内の浸透圧が低下し、血管内に水分を保持できなくなります。そのため、血管の外に水分がもれてしまいむくみが出現します。

血管内の塞栓物

静脈に血栓などの塞栓物が出現し血流がせき止められることで静脈血圧が上昇し、血管から水分がしみ出すことでむくみが生じます。

リンパ管の閉塞

血管に隣接して全身にはリンパと呼ばれる免疫を司る液が流れています。物理的にそのリンパが圧迫されたり、放射線治療や手術によってリンパの流れが滞ると、リンパ浮腫が生じます。

顔・全身がむくむ病気と原因

むくみの原因は全身性のものと局所的なものに分けられます。

低栄養・肝不全

食事が十分に取れないいわゆる飢餓状態や肝臓の疾患の影響で蛋白質が作れていない場合、血液中の蛋白質が低下します。血液の浸透圧が低下する為水分が血管外に漏れやすくなります。全身性にむくみが生じます。

腎不全

腎臓は余分な水分を尿として排泄します。機能が低下すると、尿の産生が困難になり、血管内に水分が貯まってしまいむくみが生じます。また、ネフローゼ症候群といい、腎臓の疾患が影響して血液内の蛋白質が尿から漏出してしまい浸透圧が低下し水分が血管外に漏れる事でむくみが生じる事もあります。こちらも全身性にむくみが生じます。

心不全

心筋梗塞などの疾患で心臓の働きが弱まると、心臓のポンプ機能が低下します。その為全身の血液の循環が悪くなり血管内にうっ滞が生じます。特に足を中心に全身性にむくみが生じます。

薬剤性

一部の薬剤の副作用でむくみが生じることがあります。他にもアレルギーで浮腫が生じる事があります。
両足や口腔内の歯肉がむくむ事が多いです。

その他

他に首にある甲状腺という器官の機能低下、副腎皮質ホルモンの異常なども全身のむくみが出現します。全身のむくみは原因が多岐にわたるため、原因検索の方法や治療は様々です。

局所だけがむくむ病気と原因

手足だけがむくむ原因、片方だけに生じるものには以下のものがあります。

深部静脈血栓症

手や腕、脚の静脈に血栓ができて、血流が阻害された部位がむくみます。片方の手足だけに出現するむくみの代表例です。下記の下肢静脈瘤や血栓性静脈炎の原因にもなります。長時間同じ体勢でいる時などに出現します。

下肢静脈瘤

長時間立ちっぱなしの仕事をしている方に生じる病気です。静脈がこぶのように膨らむ病気で静脈の弁が壊れて血液が逆流することで起こります。

詳しくはこちら

リンパ浮腫

リンパの流れが悪いために、手や足に腫れが生じる病気です。
リンパ管が生まれつき発達が悪い1次性リンパ浮腫と、手術や放射線治療によって生じる2次性リンパ浮腫があります。加齢に伴い自然とリンパの流れが悪くなり生じる事もあります。

血栓性静脈炎

深部静脈血栓症が生じた事で血流障害が出現し、むくみが生じます。そのむくみに細菌感染を併発している際に血栓性静脈炎と診断されます。

腫瘍

腹部や骨盤内の腫瘍が原因で静脈やリンパの流れが悪くなり、足が腫れることがあります。
婦人科疾患や内臓疾患が多かったりします。

蜂窩織炎

細菌が足の皮下組織内部に入って炎症が生じた状態です。
赤く腫れて、熱を持ち、痛みが生じます。

むくみと息苦しさを感じる場合は要注意!

浮腫みと息苦しさが同時に現れる理由はいくつか考えられますが、特に心不全や腎不全、肝不全などの生命の危険がある疾患を来している可能性が高いと考えられます。

心不全

心不全とは、心臓が全身に十分な血液を送り出せなくなる状態です。
心臓が血液を十分にポンプできなくなると、血液が体内に滞留し、特に下肢や肺に液体が溜まります。

息苦しさの理由

うっ滞により生じた水分が肺に溜まる(肺水腫、胸水)と呼吸が出来なくなります。特に肺水腫は急性に生じた病態である事が多く、早急な治療介入、入院治療が必要な事が多いです。

浮腫みの理由

心臓のポンプ機能が低下すると、血液が末端の血管に水分がうっ滞し、下肢や顔面など全身性にむくみが生じます。

腎不全

腎不全とは、腎臓が老廃物や余分な水分を十分に排出できなくなる状態です。
腎臓が老廃物や余分な水分を適切に排出できなくなると、体内に水分が蓄積します。

息苦しさの理由

体内に余分な水分が溜まってしまいます。これが肺にたまってしまうと呼吸ができなくなります。

浮腫みの理由

余分な水分が下肢や体の他の部分に溜まり、浮腫みが生じます。

肝不全

肝不全とは、ウイルス感染やアルコールなどが原因で肝臓がうまく機能処理できなくなる状態です。
肝臓が正常に機能しないと、アルブミン(血液中の蛋白質)の生産が減少し、これが浮腫みの原因となります。

息苦しさの理由

アルブミンが低下する事で血管内の水分が全身に漏出します。特に肺に水分が漏出(胸水)したり、腹部に水分が漏出(腹水)が生じる事で、呼吸がしにくくなります。

浮腫みの理由

アルブミンは低下する事で全身性にむくみが生じます。

深部静脈血栓症(DVT)

深部静脈血栓症とは、静脈に血栓ができ、血流が妨げられる状態です。
脚の深部静脈に血栓ができると、その部分の血流が妨げられ、浮腫みが生じます。

息苦しさの理由

血栓が出現した静脈から血液に波及してしまい、肺に流れる肺動脈を塞ぐ(肺塞栓)と、急激な呼吸困難が発生します。肺塞栓は突然死の原因にもなるため治療が必要です。

浮腫みの理由

血栓の影響で静脈血流が遮断され血液が溜まるため、下肢が腫れます。

むくみの治療法

むくみの治療法むくみの原因疾患に応じた治療を行います。心不全や深部静脈血栓症などの疾患に関しては原因疾患の治療とともに必要なら利尿剤の管理を行います。根本的に塩分摂取量を減量する事やむくみをよくするための弾性ストッキング装着などの圧迫療法が有効な事もあります。
また、座りっぱなしの仕事をされている方は、30分に一度の間隔で短い休憩を取り、足首のストレッチや爪先立ち運動を行いましょう。

むくみの解消・改善法

一時的なむくみや時折起こるむくみには以下の方法が有効です。

  • 塩分の過剰摂取に注意する
  • 運動習慣を身に付け、運動不足を解消する
  • 加工食品を避ける
  • お酒の飲み過ぎに注意する
  • 質の良い睡眠をたっぷりとる

これらの方法を試してもむくみが改善しない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。