- 死亡原因ランキング1位の
「生活習慣病」とは - 生活習慣病の種類
- 生活習慣病の原因
- 生活習慣病は無症状
- 生活習慣病の治療法
- 生活習慣病の予防・改善
- 糖尿病とは
- 糖尿病の原因
- 糖尿病に初期症状はある?
- 糖尿病の検査
- 糖尿病の診断となる数値
- 糖尿病の治療
- 糖尿病は一生治らない?
- 糖尿病の食事
- 糖尿病の予防
死亡原因ランキング1位の「生活習慣病」とは
生活習慣病とは、生活習慣の乱れが長年続き引き起こされる病気のことです。
代表的なものには、高血圧や糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、高尿酸血症があります。
食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足や喫煙、睡眠不足、生活リズムの乱れによって引き起こされます。
生活習慣病の種類
生活習慣の乱れで引き起こされる生活習慣病は、日本人の死因上位を占めています。
日本人の2人に1人は
「三大疾病」が死因
日本人の2人に1人が生活習慣病で亡くなっています。
その中でも上位の死因である「がん・心疾患・脳血管疾患」を三大疾病と言います。
がん
がん(悪性新生物)は現在、日本人の死因の1位です。
喫煙や飲酒、高カロリーや高脂質を好む生活習慣は肺や消化器系のがんの要因とされています。
心疾患
心疾患は、がんの次に多い死因の2位です。
心疾患の中には心不全、心筋梗塞、弁膜症、不整脈といったものが含まれます。
高脂質の食事や、喫煙、飲酒、塩分の過剰摂取、運動不足などの生活習慣は、虚血性心疾患のリスクを高くします。
脳血管疾患
脳血管疾患は、がん、心疾患、老衰に続いて、死因の4位です。
脳血管疾患には、動脈硬化によって脳の血管が詰まる脳梗塞と、脳の動脈が破れて出血する脳出血があります。
喫煙や飲酒をはじめとする生活習慣の乱れにより、高血圧や肥満、糖尿病や脂質異常症を引き起こし、脳血管疾患につながります。
「三大疾病」に
4疾患が加わった
「七大生活習慣病」
三大疾病に加えて「糖尿病・高血圧性疾患・肝硬変・慢性腎不全」の4つの病気を七大疾病と言います。
糖尿病
血液の中の糖分(血糖)を膵臓という臓器から放出されるインスリンというホルモンによって低下させます。糖尿病はそのインスリンがうまく働かなかったり、放出する事が出来ず、血糖値が上昇する病気です。
糖尿病は心筋梗塞などの動脈硬化疾患だけでなく、眼や腎臓、神経障害を引き起こします。
高血圧性疾患
血圧が基準よりも高い状態を高血圧と言います。
高血圧は糖尿病と同様に動脈硬化疾患の原因になります。他に心臓が肥厚する心肥大の原因になり、心肥大が原因で心不全に至ります。
肝硬変
肝硬変は、主に過剰な飲酒を好む生活を続けることで、肝臓の細胞が慢性的に炎症にさらされ、傷つくことで繊維化し硬くなる病気です。
肝硬変には、肝細胞癌になるリスクがあります。
慢性腎不全
慢性腎不全は、慢性的に腎臓の機能が低下し、正常に機能しなくなる病気です。
糖尿病や高血圧などの生活習慣病も原因となっています。
進行すると、透析や腎移植をする必要が出てきます。
その他の生活習慣病
脂質異常症
脂質異常症とは血液の中のコレステロールや中性脂肪が高い状態です。
長期間放置する事で動脈硬化疾患の原因となってしまいます。
近年の研究で遺伝的な要因によって生まれつきコレステロール値が高い方もいらっしゃり、その様な方は若年で心筋梗塞を起こしてしまいます。
高尿酸血症
高尿酸血症とは、血中の尿酸値が多くなる状態です。
過度な飲酒が原因とされています
進行すると結晶となった尿酸が炎症を起こし、痛風発作を起こします。
肝臓疾患・脂肪肝
ウイルス感染による慢性的な炎症や、生活習慣の乱れで肝臓に脂肪が沈着してしまう脂肪肝が原因で肝機能障害を引き起こします。長期間放置される事により肝硬変や肝細胞癌になってしまいます。
慢性閉塞性肺疾患
たばこの煙などの有害物質が原因で肺が炎症を起こし、呼吸がしにくくなる病気を、慢性閉塞性肺疾患と言います。気管支が炎症を起こすことで、気管支の通りが狭くなり、肺胞の弾力が硬くなりうまく空気を吐き出せなくなります。身体を動かした時に呼吸が苦しくなる症状から始まり最終的に動いていない時でも十分な酸素が吸えなくなり在宅酸素療法が必要になってしまうケースもあります。
貧血
貧血とは、血液中の赤血球が少なくなってしまっている状態です。
貧血の状態では身体中にうまく酸素を運ぶことができず、疲れやすさや息切れなどの症状が現れるだけでなく心臓や他の臓器にも悪影響が出ます。鉄分不足や出血、腎不全などの様々な原因があり、治療の様式も様々です。
生活習慣病の原因
生活習慣病は、食生活の乱れや運動不足、ストレスや飲酒・喫煙、睡眠不足により引き起こされます。
健康的な生活を送るためにも、生活習慣の見直しが大切です。
食生活
高脂質・高カロリー、塩分の多い食事、夜食、野菜不足などの偏った食事は病気のリスクを高めます。
食生活の乱れは、高血圧や糖尿病、脂質異常症につながります。
運動不足
運動不足は肥満の誘因だけでなく、ストレスを溜めやすくなります。
運動不足の状態では、基礎代謝量も減少します。
ストレス
ストレスを溜めることで、睡眠不足や自律神経が乱れ、生活習慣を招きます。また、胃や十二指腸にも負担がかかってしまい、潰瘍を引き起こしてしまいます。
飲酒・喫煙
飲酒や喫煙の習慣があると、心臓への循環器系の負担を増加させるだけでなく、肝臓や肺などの臓器も損傷していきます。一度傷ついてしまった臓器が回復するのは困難であり、重篤な疾患を引き起こすリスクが高まります。
睡眠不足
睡眠不足の状態が続くと、ホルモンバランスや自律神経が正常に作用せず、血圧や血糖のコントロールが乱れます。生活習慣病である高血圧や糖尿病のリスクを高めてしまいます。
生活習慣病は無症状
生活習慣病は、本人の自覚症状が出ないままじわじわと進行することからサイレントキラーと呼ばれています。
無症状のため、気付かないうちに動脈硬化が進行し、脳や血管、心臓にダメージを与え、ある日突然心筋梗塞や脳卒中を発症し、最悪の場合は命を落としてしまう恐ろしい疾患です。
生活習慣病の治療法
生活習慣病の治療では、偏った食事の見直し、禁酒や喫煙、生活リズムの改善、睡眠時間の確保など、まずは乱れている生活習慣を整える必要があります。
そして、高血圧や糖尿病、脂質異常症などに対して、適度な運動、食事療法、数値によってはお薬を使用して治療を行います。
年齢や性別、家族歴や既往歴によっても、それぞれ治療方法が異なります。
生活習慣病の予防・改善
生活習慣病は、気づかないうちに様々な合併症のリスクがあるため、予防することが大切です。
早期に対応することで、病気を予防できるためライフスタイルを見直してみましょう。
運動療法
運動療法は糖尿病などの生活習慣病に対して有効であるだけでなく、寝たきり予防、更にはうつ病などの精神疾患にも有効というデータが出ています。主に有酸素運動がメインになりますが、年齢や体力次第では筋力を増やす無酸素運動も有効とされます。
現在糖尿病のガイドラインでも推奨されているのは1回30分以上のジョギングなどの有酸素運動を週に150分以上行う事。更に2日以上空けない様にし、継続する事が勧められています。
まずは無理せず、時間を決めてウォーキングや階段を利用し運動習慣を身につけていきましょう。
食事療法
食事療法は運動療法と同様に生活習慣病、体重の減量に有効な治療法です。
1日に自分が必要なカロリー量を把握し、1日3食決まった時間に食事をする事が大事です。
塩分の摂取量を控える事は高血圧を、間食や夜食をとらない様にする事は糖尿病の予防や治療に繋がります。
インスタント食品はその保存のために多量の塩分が使用されているため、可能な限り摂取を控えるか摂取をしてもスープまで飲まない様にするといった工夫をしましょう。
睡眠・ストレスの軽減
日々の疲れをとるためには、良質な睡眠は欠かせません。
1日7時間程度睡眠時間を確保できる人は、最も死亡率が低いとされています
朝日を浴びて日中に昼寝をしない、体内時計を整えることやストレス発散ができる趣味を取り入れてみましょう。
タバコを控える
タバコには多くの発がん性物質を含んでいるためあらゆる臓器にダメージを与えます。
まずは、1日に吸う本数を徐々に減らし禁煙を目指しましょう。
飲酒を控える
飲酒は、肝臓に負担を与えるだけでなく、睡眠の質を下げてしまいます。
厚生労働省は節度ある適度な飲酒量として純アルコール20g程度(缶ビール500ml1本程度)と定義しています。
飲む量を減らすだけでなく、肝臓への負担を軽減するために休肝日を作るようにしましょう。
糖尿病とは
血液中の血糖値が慢性的に高い状態を糖尿病と言います。
糖尿病になると、高血糖による様々な理由から血管が固く脆くなり、進行すると心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化疾患になるリスクが上がります。
また、糖尿病には三大合併症である糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、神経障害があり、早期に治療し予防することが大切です。
糖尿病には、1型糖尿病と2型糖尿病の2種類あります。
糖尿病の原因
1型糖尿病
1型糖尿病は、膵臓のインスリンを出す細胞が壊されてしまう病気です。
インスリンを出す力が弱まるため血液中の血糖値が上昇してしまいます。
若年で発症する場合や感染症を契機に発症する報告があり、生活習慣とは関係はありません。
絶対的にインスリン注射を使用する必要があります。
2型糖尿病
2型糖尿病は、生活習慣の乱れが原因でインスリンが出にくくなることや効きにくくなることで血糖値が高くなります。肥満や運動不足などが原因となります。食事や運動習慣を見直し、必要に応じて内服や注射で治療します。
糖尿病に初期症状はある?
糖尿病には初期症状がほとんどありません。
高血糖の状態が持続することで症状が現れることがあります。
糖尿病の症状チェック
- 食生活や運動習慣を変えていないのに年々体重が減少する
- ︎よく喉が渇く、水分をよくとる
- ︎トイレにいく回数が増加した
- ︎体が疲れやすい
- 3食摂っているのにすぐお腹がすく
- 間食や夜食をよく摂取してしまう
- ︎視界がぼやける
- ︎家族に糖尿病の方がいる
- ︎脂っこいものをよく食べる
- ︎お酒をよく読む
- ︎運動はほとんどしない
糖尿病の検査
糖尿病は血液検査で判断、管理を行います。
食事を摂取していない時の血糖値と糖分を摂取した2時間後の血糖値で判断します。
管理は主に血糖値とHbA1cという約3ヶ月間の血糖値推移で状態がわかる数値を調べます。
糖尿病の診断となる数値
血液検査で血液中の血糖値を測定し、数値をもとに診断します。
通常は、約80〜120mg/dLの範囲で維持されます。
正常高値
空腹時の血糖値が100~120mg/dLの場合は、放置しておくと糖尿病になってしまう可能性があります。
糖尿病予備軍
空腹時の血糖値が110~126mg/dLの場合は、糖尿病予備軍であり、糖負荷試験などで精密検査を行うことがあります。
糖尿病の可能性あり
空腹時の血糖値が126mg/dL以上、もしくは食後の血糖値が200mg/dL以上であれば、糖尿病の可能性があります。HbA1cが7.0%以上の場合糖尿病の可能性が非常に高いとされます。
症状がある場合
血液検査の数値に関わらず、3大合併症(腎症、網膜症、末梢神経障害)が認められる場合も糖尿病と診断されます。
1型糖尿病と2型糖尿病の特定
突然発症の糖尿病や若年者で発症する糖尿病は1型糖尿病の可能性を疑います。1型糖尿病と2型糖尿病では治療方針に大きな違いがあるため、疑わしい方は先に1型糖尿病の検査を行います。自己免疫が原因となっているため自己抗体の検査を行い判断します。
糖尿病の治療
糖尿病の治療は、まずは食事療法や運動療法を行います。
必要に応じて薬物療法を組み合わせて治療を行っていきます。生活習慣の改善は、糖尿病の治療につながります。
食事療法
糖尿病は不規則な食生活が関係しています。
3食バランスの良い食事を心掛け、食物繊維の多い食材や野菜をはじめに摂取することで、急激な血糖値の上昇を防ぐのに効果的です。
食べ過ぎや飲み過ぎにも注意しましょう。
運動療法
食事療法に加えて、運動療法も取り入れていきます。
運動を行うことで、肥満を改善し、糖代謝やインスリンの働きを高める効果があります。
ウォーキングやジョギングといった有酸素運動が理想的ですが、近年の報告では短時間の筋肉トレーニングなどの無酸素運動も糖尿病に対して効果的で、筋力がアップする事で寝たきり予防にもつながるとされます。
年齢や現在の活動力で適切な運動療法を生活習慣に取り入れましょう。
薬物療法
1型糖尿病の場合は、インスリンの分泌が低下しているためインスリン療法が必須になります。
2型糖尿病の場合は、食事療法と運動療法で効果が十分に得られないときに薬物療法を行います。
内服治療と注射の2種類があります。
薬物療法がはじまっても、食事療法と運動療法を並行して行うことが大切です。
糖尿病は一生治らない?
一度糖尿病を発症すると、完治は難しく、症状が改善してもまた生活習慣が乱れることで再発し、一生治らないと言われています。
そのため、糖尿病と診断された場合や糖尿病の恐れがある場合には早めに受診し生活習慣の改善をすることが大切です。
糖尿病の食事
1日3食規則正しく
カロリーを減らすために食事回数を減らしてしまうと、食後の血糖値が急激に上昇してしまいます。
まずは1日3食規則正しく食事をとり、間食や夜食を控える事が大事です。
バランスのとれた食事
主食・主菜・副菜でバランスの良い食事を心がけましょう。
食物繊維の多く含む野菜やキノコ類、海藻を先に食べることで血糖値の上昇が緩やかになり効果的です。
腹八分目
必要なエネルギー量は、年齢や性別、体格などから決まっています。
必要以上のエネルギーを摂取することは肥満の原因になるため、満腹になるまで食べないよう心がけます。
アルコールを控える
アルコールは飲み過ぎるとアルコール性肝障害を引き起こす場合や肝臓への負担が増加しインスリンの効果が発揮できなくなります。
糖尿病の予防
糖尿病を予防するためには、生活習慣の改善が重要です。
食事
- 朝食はしっかり食べて、夕食の量を減らす
- 適切なエネルギー量で3食バランスの良い食事をとる。間食や夜食は控える。
- 食持ち繊維の多い食材から食べて、腹八分目を意識し食べすぎない
- アルコールは控える
運動
- エレベーターは使わず、階段を利用する
- 散歩や買い物など意識的に歩く
- 一駅分歩く
- ウォーキングや筋トレなどの有酸素運動を行う。余裕がある場合は無理のない無酸素運動にも取り組む。
体重
- 正常なBMIを目指して減量する
- 若いうちから生活習慣の乱れを意識する
- 体重が増加しないよう適正体重を把握
- 年々代謝が落ち、太りやすくなるため体重増加に注意する
精神面
- 十分な睡眠時間を確保する
- 自分にあったストレス発散方法を見つける
- ぬるめのお湯に浸かり疲れをとる
- 辛い時はひとりで抱え込まず専門家に頼る