息切れとは
息切れとは、呼吸をする際に努力が必要だったり、不快感を感じたりする状態を指します。
普段、安静時や平地をゆっくりと歩く程度では呼吸に辛さを感じることはありませんが、何らかの原因で呼吸がうまくできないと息切れが生じます。
不快感には、胸の圧迫感や息が詰まる感じ、十分に吸えない・吐けないといったさまざまな症状が含まれます。
特に少しの運動で息切れを感じる場合、健康上の問題が隠れている可能性があります。
階段を上がるだけでも動悸?息切れチェック
息切れの程度はGrade0〜5までのスケールがあります。
以下のスケールを用いて自分の息切れの程度をチェックしてみましょう。
Grade0
息切れを感じない
Grade1
強い労作(運動)で息切れを感じる
Grade2
急ぎ足で平地を移動する、または緩やかな坂を歩いている時に息切れを感じる
Grade3
同年齢の人よりも平地で歩くスピードが遅い、または自分のペースで平地歩行していても息継ぎのために休む必要がある
Grade4
約100ヤード(91.4m)歩行したあと、または数分間平地歩行したあとに息継ぎのために休む必要がある
Grade5
息切れがひどいため外出ができない、または衣服の着脱時に息切れする
医療機関の受診をすすめる目安としてはGrade2以上です。
息切れの原因
息切れは、さまざまな原因で引き起こされることがあります。ワッサーマンの歯車というものが有名です。肺で呼吸をする事で酸素と二酸化炭素の交換を行い、その酸素を心臓がポンプ機能で全身に送り届け、筋肉が酸素を消費する事で身体を動かしています。それらの臓器のどれかが障害を来す事で労作で息苦しさを感じる様になります。
息が切れる時に考えられる病気
息切れの原因となる病気は多岐にわたります。
主な病気は以下の通りです。
新型コロナウイルスの感染後でも動悸・息切れ?
新型コロナウイルス感染症の後遺症として、息切れや動悸が出現することがあります。
寝ている時は問題なくても、立ち上がったり動いたりすると息切れや動悸を感じることがあります。
コロナウイルスに感染後1-2週間程度経過した時期に来す免疫性肺炎と呼ばれるような病態で、間質性肺炎という肺炎と同様の病態を来します。
これらの後遺症は高齢者だけでなく若年者や基礎疾患のない人にも発症する可能性があり、その後肺の障害が残存する可能性もあります。他にもこのようなウイルス感染を契機に心臓の筋肉にも感染を来し(心筋炎)、急性心不全を来す事もあります。同様に息切れや胸痛などの症状が出現し生命の危険もあります。
息切れの検査
心臓疾患や呼吸器疾患の中でも、重篤な疾患を確実に鑑別するため、心電図検査や胸部レントゲン撮影を行い確認します。
心不全が疑われる場合には、採血や心臓エコー検査で診断し、治療の適応を判断します。
冠動脈疾患が疑われる場合には、心臓CT検査や運動負荷試験、心臓カテーテル検査で詳しく調べます。
心臓疾患が除外できたら、重大なリスクは低くなります。
並列して長期間の喫煙歴がある場合は並列して呼吸器疾患の評価を行います。
また、貧血による症状を疑う場合は、採血で判断が可能です。
息切れの治療法
原因に応じた治療を行います。
気管支喘息や胸膜炎、肺炎などの場合は、それらの治療を行うことで息切れが改善されます。
また、慢性閉塞性肺疾患では禁煙が必須で、必要に応じて在宅酸素療法や酸素ボンベの携帯を行います。
不整脈の場合は、薬物療法やカテーテル治療、手術を実施します。
心不全を認める場合は、心不全そのものや原因疾患に対する治療を実施します。
貧血が原因の場合は、消化管出血がないことを確認して鉄分投与や輸血を行います。